(前日の記事)
新潟市の公園で起床
今日は新潟県のクジャクを飼っているという謎の公園で起床した。クジャクは外に出ている時間が決まっているらしく、結局見ることができなかった。残念すぎる。ただ、クジャクの他にもうさぎとか亀とかいて、動物園みたいな公園だった。
屋根がある場所が夜は雨も防げて快適だった。屋根があると本当に安心感が違う。知ってる?家ってすごい便利なんだよ?
前日は夜に着いたからあまり公園について知らなかったのだけれど、動物がいるだけでなく日本庭園風の池とかもあって、かなり雰囲気が良かった。そこそこ有名な公園なのかもしれない。名前が思い出せぬ……
若者二人組にからまれる
公園でうどんを茹でていると背後から「お兄さんなにやってるんすか?」と急に声をかけられた。
後ろを振り返ると金髪と茶髪のいかにもなイケイケな二人組だった。時刻は朝の6時前だったので「新潟のヤンキーはとっても健康的で早起きなんです!」ということではない限り、確実にお酒を飲んだ朝帰りの輩なのだろう。
こういう輩が一番怖いんだ……!!!
「何やってるんすか?」と金髪の方に聞かれたので、素直に「うどん茹でてます」と言ったら、今度は茶髪が「いや違いますよwお兄さんどっから来て何目的でここにいるんですか?ww」と笑われた。僕から見て左に金髪が立ち、右に茶髪がヤンキー座りでおり、中央に鎮座するのはうどんを茹でている僕。他人がこの状況を見たら、ヤンキーにうどんを作らされている奴隷にも見えるかもしれない。どんな状況?
ここはもう変に煙たがっても絡まれるだけなので「日本一周やってるんですよ!!」と空元気で素直に言うと、金髪が「まじすか!!すげぇぇー!!!!!!!!」と急に目を輝かせた。ビビって顔を見ていなかったのだが、よくよく見てみるとかなり年齢が若そうだった。
そこからは金髪と茶髪の二人組はオール明けのテンションでオーバーリアクション気味に、僕の話を興味津々で聞いてくれた。あれ?これ話しててすごい楽しいな。ヤンキーに話し聞いてもらうのってこんなに気持ちいいんだな……
二人はまだ20歳になったばかりらしく、茶髪の方は僕の地元である神奈川の専門学校に行っているということで、ものすごく親近感が沸いた。日本一周中はおばさんやおじさんが興味を持ってくれる人は多かったが、若者と話すのは久しぶりだったので、新鮮な気持ちになった。
「本当にすごいっすね」
「俺もそういうことやってみたいわー!」
「お金持ってたらご飯ご馳走したかったっすよ!今日が飲み会の帰りじゃなかったらなー!!」
二人は僕に気を遣って言ってくれているのはわかったが、温かさを感じで心が癒やされた。ものすごく良い子達だった…やっぱり人は見た目じゃないんだなぁ……
うどんを食べ終わり二人と握手して別れを告げ、出発することに。朝から気分がいい。一気に今日も進むぞ!!!
バイパスで自転車を走ると警察に捕まる
この日はものすごく天気もよく、最近までの崩れていた天気が嘘のようだった。むしろ日差しが刺すように痛いくらいだ。
暑いのは大敵だが、雨が降ったりやんだりを繰り返していたここ3日くらいの天気と比べたらかなり気持ちがいいくらいだ。
いよっっしゃーーーーーーーー!!!!!!!!
気合入れていくぜぇぇぇぇぇぇっぇぇえっぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
ファン、ファン、ファン、ファン
「そこの自転車止まってー」
はい、捕まりました。いや確かにおかしいと思ってたんだよ。周りは車ばっか走っているし、歩道が周りに全然ないし、高速道路みたいに周りの壁が高いし。
そうです、バイパスを走っていたみたいです。
いやこれね、言い訳させてくださいよ。わざとじゃないんですよ。自転車で走っていると意外に気づかないものなんです。というか実際には僕も途中で「あれ?これバイパスじゃね?やばくね?」って気づいているんだよ。
でも真横を猛スピードの一方通行で走っていく車が通っていく中で、もう引き返すことはできない。一度バイパスに入ってしまうと、次の出口まで走るしかない。高速道路で道間違えたときに、「やべ!Uターンするか!」って出来ないでしょ?それと同じなのだ。
実はこの「バイパスを走る」というミスは旅に出てから3日目にもしている。つまり旅を出発してからまったく成長が見られないということだs。「旅をすると成長する!!」って言うじゃん?あれ絶対ウソだよ。
僕の人生を左右させたと言ってもいい人物との出会い
そこからは警察に半笑いでバイパスから出るように言われて、8号線から115号線に乗り換えてひたすらまっすぐ突き進む。バイパスの横道を走っていく感じなので、車通りも少なくてけっこう快適だった。バイパスにのる必要なんてなかったんだ…なんのために警察に一度捕まったのだろうか…
途中でコンビニでトイレを借りて休憩。セーブオンって僕の実家(神奈川)にはないんだけど、群馬にほとんど店舗があるらしい。と言うか調べてみたら新潟のセーブオンは今はローソンに全部変わってしまったらしい…
コンビニで休んでいるとTwitterにリプライが来ていることに気がついた。それにはこう書いてあった。
「村上市に住んでるんですが何か必要なものありますか?」
おお…神の登場だ…!!
何回かやりとりして実際に会うことになった。なんとずっと僕のTwitterを見ていてくれたらしく、飲み物などを持ってきてくれるとのことだった。
笹川流れの看板を過ぎて少し走っていると、前方の車から顔を出して、
「megayaさんですか!?」
と先ほどやりとりした人が声をかけてきてくれた。 当時の僕はネットでやりとりした人とリアルで出会うなんてほぼやったことがなかったので、ものすごく緊張したことを覚えている。
そこから少し先のかもめ弁当というお弁当屋さんで後藤(仮名)さんと合流した。後藤さんは僕をものすごく応援してくれていたらしく、いろいろなものを持ってきてくれた。
・カルピス2リットル
・お茶
・タッパに食べやすいサイズで入ったスイカ
・コーラ
・スマホのモバイルバッテリー
他にもお菓子など色々と持ってきてくれた。なにがすごいって持ってきてくれたモバイルバッテリーは5~6000円くらいするやつだったのだ。「使わないからどうぞ!あげますよ!必要でしょう?」と僕に無償でくれたのだ。いい人すぎる…
そしてこのかもめ弁当でも唐揚げ弁当をごちそうしてもらった。これが唐揚げがめちゃくちゃでかくて驚いた。節約でうどんばっかり食べていたので、このときの唐揚げが感動するほど美味かったのをハッキリと今でも覚えている。
お弁当を食べながら後藤さんといろいろと話した。久しぶりに長い時間を人と話した。いつもはちょっと話してさよならだったので、会話が止まらなかった。気づいたら後藤さんに自分の将来の悩みを話していた。
僕は将来がこのとき不安でしかたなかった。旅が終わったらどうするかまったく考えていなかったのである。むしろ家に帰りたいが両親に会うのは怖いという気持ちもあった。家出しているから当然といえば当然なのだけれど。そういった悩みをポツリポツリと話しているうちに、後藤さんがこんな話をした。
「僕の知り合いにIT系で働いているやつがいてね。昔はパソコンなんてまったくわからなかったのに急にプログラミング始めてさ。最初は給料も安かったみたいだけど、今だと年収が700万くらいいってるんだよね。そっちの世界は努力すればするほど給料が上がるみたいだから、megayaくんも旅が終わったらそういうやったことない職業を考えてみれば?」
この時点だと僕はプログラミングなんてのはおろか、ブラウザという言葉が何かすらわからないほどパソコンには疎かった。心の中で「いやいやプログラミングって何?無理だよ…」と思っていたが、このときの一言は僕の旅が終わってからを大きく左右することになった。
旅が終わってから就職先を探すことになり求人を見ているときに、後藤さんの一言を思い出し、SEの会社が目に止まりそのまま入社を決めたのだ。そしてそこから僕は現在webエンジニアとして働いている。未来というのは本当にわからないものである。些細な一言で人生が変わるときもあるのだ。
この後藤さんの話を聞いているとき僕はただただ漠然と「色んな人がいるんだなー!俺には無理な話だなー!」くらいにしか思っておらず、どっちかっていういと「唐揚げ弁当うめぇwww」って気持ちでいっぱいだった。
そんな感じで後藤さんには感謝してもしきれないほどのことをしていただき、最後にガッチリ握手をして別れた。
Twitterで応援してくれている人はたくさんいたのだけれど、SNSでこうやって輪が拡がって色んな人に助けてもらっているんだなと改めて実感した。今ほどTwitterも影響がない時代だったから余計に感動した。
バイパスでの逮捕を目撃していた人が現れる
海沿いはやはり走っていると気持ちが良い。海沿いは強風のときは潮風が強くて地獄なんだけど、この日は風も弱く快適だった。僕は神奈川出身で海に近いとこに住んでいたが、日本海側の方が海がキレイだなと走っていて感じた。
快適に走っていると、数十メートル先で車が止まった。そして中から女性2人組がでてきて、明らかに僕に手を振っているようだった。ただこのあたりに女性の知り合いなんかいないし、勘違いして手を振りかえして「おめぇーじゃねぇーから!!!!」とか言われても怖いので通りすぎようとした。
「いやいやwキミに手を振ってたんだよwwww」
止められた。20代後半くらいの女性二人組で、夏が似合うこんがりと焼けた褐色の肌をし、頭にはサングラスをかけていた。クラブとか好きそうな苦手なタイプだ……と偏見丸出しの穿った見方をしていると、予想外な質問をされた。
「さっきバイパス走ってませんでした?www」
うわぁぁっぁっぁぁっぁぁあぁ!!!!!
めちゃくちゃ恥ずかしい!!!!!!!!!!
まさか見られていたとは…!!!!!
素直に「走ってました。そのあと警察に捕まりました」と答えたら、晴天を突き抜けるんじゃないかってくらい爆笑された。甲子園のサイレンくらいでかい声で笑われた。
そこから矢継ぎ早に、
「どっからきたの?」
「今日どこ行くの?」
「一日どんくらい走るの?」
と、質問攻めにあった。二人のテンションの高さに最初は物怖じしていたが、若い女の人と話すなんて久しぶりすぎて僕は若干興奮していた。
会話しているうちに「あれ?もしかしワンチャンあるんじゃないか…?」くらいに思っていたけど当然なにもなかった。AVの見すぎだ。
ひとしきり話したあとに最後までハイテンションな二人は「じゃーーーねーーーーーー!!!!!がんばっってーーーーーーーー!!!」と車からスマホの地震速報くらいの大声をだして応援してくれた。
朝のヤンキーも良い子たちだったし、今のギャル二人もいい人たちだったし、後藤さんは神だし、新潟は温かい人が多いな…
気がつけば山形
そこからは後藤さんに弁当を食べさせてもらったことや、ギャル二人と話したことにより、体力的にも精神的にも充実しており、順調に距離を伸ばしていく。やっぱり栄養あるものを食べたり、人と話したりするのって大事なんだな…と体感することができた。
全力で必死に漕いでいるうちに、気がつけば山形県の看板が見えた。なんだかんだ気付けば今日も100km越えていた。
山形県の看板が見えてから少し走るとイオンが見えた。そこで買い物してから近くに公園があったので、そこを寝床にすることにした。
山形県にも入って今日の目標も達成できたし、一日かなり充実していたように感じる。色んな人と話したなぁ。ヤンキーも良い二人組だったし、後藤さんにはお世話になったし、女性2人組もおもしろかったし。
結局こうやっていろんな人に助けられて人は生きていくんだろうなぁ…となんとなくそんなことを思いながら、気がついたら眠りについていた。
自転車日本一周の残金
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かにぱん8個入り¥70
ピーナッツクリーム¥98
ミニマヨネーズ¥68
食パン¥88
コロッケ2個¥120
プチトマト¥64
フィッシュソーセージ¥50
お水¥78
うどん¥58
洗剤¥200
塩分補給飴¥138
カセットボンベ3本¥298
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計1403円
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残金:6万8325円
残日:50日
(残日は母に「3ヶ月以内に帰る」と約束したため、神奈川に到着するまでの残りの日数を記している)
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新潟県(新潟市)〜山形県(鶴岡市) 約100km
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