渋谷にいた怪しい若者を家に泊めました
タイトルの通りなのですが、先週の月曜日に渋谷にいた見ず知らずの男を家に泊めました。
彼は渋谷で「何でも屋」という青臭くて泥臭くて、うさんくさい看板を掲げて活動していました。
彼と会った時に名前を聞いたときも、
「俺イキロって呼ばれてるんで、そう呼んでください!」
と言ってきてました。
僕は心の仲で「もううさんくささしかねーな、こいつ。イキロってなんだよ。もののけ姫かよ!!」とずっと思っていました。
(引用:http://laughy.jp/item/53de341e0cf2e1ce1b916d8f)
そんな彼をなぜ家に泊めることになったのかと、泊めてみてどうだったのかをつらつらと書いていきたいと思います。
友人の誕生日を祝おう
ある日、僕が1時くらいに寝ようと思っていたときなんですけど、友人のOちゃんから電話が急にかかってきたわけですよ。
僕もウトウトしていたところに電話がかかってきたんで、多少イライラしましたが、Oちゃんはそんなことも気にせず、まくし立てるように話はじめました。
「Rちゃんが誕生日近いから、渋谷でその辺にいる人に花を渡して、みんなに祝ってもらうって企画やるから!だから明日22時に渋谷に集合ね!!」
横殴りの突風がきた並に勢い良く話すものの、まったく要領を得ていない内容だったので、僕は南海の孤島に放りだされた気分でした。ようは言ってる意味が分からない。
ということで、僕は自分のおじいちゃんと話しているときのように、
「〇〇ってことで合ってる?」
「それってつまり〇〇って言うこと?」
と何回も正確に問いただし、眠くて回らない頭を必死に回転させて、10分ほど会話してOちゃんがやりたいことをようやく理解できました。
どうやらフラッシュモブ的なことがやりたいようなのです。
たしかにやってもらえたらうれしいだろうなーと思いますが、急に「明日やるよ!!」って言われても計画もクソもないので不安しかありません。
Oちゃんに「これ本当にいきなり準備できるの?」「大丈夫なの?」と何度も聞いても、
「大丈夫!あたしがなんとかするから!!」
と男前なことしか言わず不安は募るばかりでした。でも計画しているOちゃんがそう言うなら信じるしかありません。
Oちゃんの千堂ばりの奇跡の活躍に期待して、とりあえず当日行ってみることにしました。
(引用:http://slamdunk.get0ver.net/sendou/216)
何でも屋に出会う
ということで次の日の夜に待ち合わせ場所に行って見ると、期待通りOちゃんは何も考えておらず、「なんとかなるよ!」の一点張りでした。
僕は不安で仕方がなくて胃が痛いくらいでした。そもそも僕はコミュニケーション能力がさほど高くないから不安なのです。
この企画は「知らない他人に話かける」というのが肝です。それができなきゃ話になりません。
僕は「仕事」や「取材」と言った大義名分があれば話かけることはできるのですが、それ以外のときはコミュ力0男です。内弁慶人間なのです。
そんな不安を抱えていた僕でしたが、なんと運が良いことにOちゃんと待ち合わせしていた目の前に、「何でも屋」の看板を掲げる謎の男がいました。
Oちゃんや一緒に祝う友人のMちゃんとも話した結果、この男に人集めをお願いすることにしました。せっかくあるリソースは使おう。
問題はお願いしたときの費用面と、この男が本当に信用できるのかという2点です。
Oちゃんが何でも屋に話しに行くと、彼は明るく快活でよくしゃべる好青年でした。コミュニケーション能力高いってこういうやつを言うんだろうなって感じの、完全に陽の世界の人間でした。
ただ金額面などは怖いので、ちゃんと話を聞いてみることにしました。
僕
「何でも屋って本当に何でもやってくれるんですか?あと料金とかってどのくらいですか?」
何でも屋の男
「本当になんでもやりますよ!
お金も全然いりませんよ!無償でも良いですし、払ってもらっても良いですし自由に決めてください」
僕
「えっ無料でも良いんですか?めっちゃ良いですね!!
あと興味で聞くんですけど、いつもここで何でも屋をやっているんですか?」
何でも屋の男
「ヒッチハイクで名古屋から渋谷まできたんですよ!昔から旅するのが好きで、今回も休みもらって友人に会いにきたんですよ。
だけど、昨日クラブ行って遊んでたら、財布落として無一文になったんですよ。だから今日なんでも屋やってました!」
こいつは、、、アホだ!!(褒め言葉)
アホだと思ったものの、僕は自分が過去にママチャリで日本一周をしたことがあったので、旅をしている人が困っていたら、助けてあげたいという気持ちがあった。
自分が旅をしているときに、かなり助けてもらったからね。
彼と話してみて、信用出来そうな人物だったので、僕らは誕生日の企画を彼にお願いすることにした。
何でも屋の男に年齢を聞くと彼は23歳らしく自分のことを「イキロ」と名乗った。
旅をしているときに紙に、
「生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ」
と書きなぐっていたら、それが自分の名前になっていたと言っていた。松岡修造の生まれ変わりかな?
イキロくんはすごい良いやつで会話していてもおもしろかった。
彼が良いやつだったので、僕らとの会話も盛り上がり色々なことを話した。
そして僕は盛り上がった会話の中でノリでとあることを言ってしまう。
思わず僕は思わずあることを口走ってしまった。
僕
「まあしばらくこっちいて、困ってるんだったらうちに泊まり来ても良いよ(笑)」
イキロくんは「友人に会いに来てる」と言っていたので、その友達の家に泊まるだろうと思っていた。だから僕的にはその場のノリと多少ウケ狙いで言ったつもりで発言していた。
しかし、彼は予想外にこの話に食いつきました。
イキロくん
「まじっすか?!めっちゃうれしいです!!
じゃあ今日行ってもいいっすか?ちょうど今日は野宿しようと思ってたんですよ!」
きょきょきょきょきょきょ、、今日!?
僕は唖然としましたが、彼はノリノリのようでした。
友人の誕生日の企画を手伝ってもらうことになった手前、今さら「やっぱり冗談でした」とも言えない空気感。
友人たちと話した結果、誕生日の企画を手伝ってもらう報酬が「僕の家に泊める」ということになりました。
他人を家に泊める怖さはあったけど、まあでも困ってる旅人は助けたいし、何より僕のブログのネタに彼がなってくれれば良いかな。
自分の会話の中での勢いで泊めることになってしまったのものの、プラス思考で彼を泊めることにした。
イキロくんのコミュニケーション能力は半端無かった
初めの方にも述べたように、誕生日の企画のために人を集めなくてはならない。年齢分の花を渡さないといけないので、最低でも20人は集めたいところ。(誕生日のRちゃんは今年で26歳)
これをお願いするためには、2つの高いハードルがある。
・知らない人に企画を説明する
・Rちゃんがくる時間まで待ってもらわないといけない
けっこう条件的に難しくないか?これ、本当に成功するの?
「よし!じゃあ今から人集めてきてよ!!」と僕が言われてたら絶対出来ない。
ましてやここは、荒れ狂う若者の街である渋谷だ。みんな素直に協力してくれるはずがない、、、
と思っていたら、イキロくんはもう、そりゃすさまじい勢いでガンガンに人に話かけていきました。もうね、彼には躊躇って言葉が辞書にないみたいだった。
大学生っぽいカップルに話しかけ、、、
見た目が派手な大人数のグループにも話しかけ、、、
イケイケな男女グループにも臆することなく話かけ、、、
はたまたV系っぽい外国人の二人組にまでお願いしてくれました。
そんで10分もしないうちに、彼は予定していた20人以上のその辺にいた知らない人たちに花を渡すことに成功しました。
すげーなイキロくん!!!!
これがコミュニケーション能力が高いってやつか、、、
俺にはできなねぇ、、、すごすぎる!躊躇とか不安がなさすぎる!!
ということで、イキロくんのおかげで完全に人は集めることができました。
さらに彼は最初に花を渡す役目も買って出てくれました。
しばらくしてRちゃんが待ち合わせ場所に来ました。
Rちゃんを見つけたイキロくんは、一番みんなが花を渡しやすい位置にRちゃんを誘導しつつ、みんなに合図をだしてくれました。
(動画を切り取ってるので画像が荒い、、、)
そして、、、、
HAPPY BIRTHDAY!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
次々にわたされる花束
Rちゃんへのサプライズは、イキロくんのおかげで当然のごとく大成功でした。
いやー本当に良かった。というか本当にすげーな。イキロくんいなかったら成功しなかったぞこの企画。
コミュニケーション能力ってやっぱ大事だわ。さっきまで他人だった人を結びつける能力ってすげーわ。錬金術士だわ。
というか苦言を述べてるだけで結果的に僕なんもしてねーわ。
イキロくんには本当に感謝したい。
あと協力してくれた方々にも本当に感謝した。
ありがとうございました。
イキロくんを家に泊めよう
ここまでしてもらって、さすがに「やっぱ今日は無理!泊められない!!」とは言えない。むしろこれだけやってもらったのだから、快く泊めるべきだ。
友人たちには別れをつげて、イキロくんと我が家に向かうことにした。
しかし、イキロくんは僕の目の前から消えていた。
周りを見回してイキロくんを探すと、彼は謎の占い師と話していました。
よく話しかけたな、、、怪しすぎないか、、、
彼は真剣に話しを聞いていたので、僕は離れた場所で15分ほど待ち、占いがおわってから帰路につくことになりました。占いがとてもよかったらしく、しきりに彼は興奮していました。
帰宅途中の電車の中でも、彼の好奇心は止まらないようでした。
電車で酔っている人がいると、周りの人に「東京ってこんなに酔ってる人いるんですね」と普通に話しかけたりしていました。
俺には真似できねぇ、、、
結局この男は何者なのか
イキロくんは世間でいうところの意識高い系ってやつです。twitter見てもらえればわかると思います。
何が足りなかったんだろー。
— イキロ勝也 (@ikiro_katsuya) 2016年6月20日
ずっと一緒にいたいなら自分も成長し続けなあかん。かー。
いやぁ燃えるぜよ。
一本道突っ走れ。
また必ず会えるんやろぅ‼︎
井の中の蛙。
— イキロ勝也 (@ikiro_katsuya) 2016年7月10日
海外との差を
ざっくりざっくり感じた。
こんなにも差があるとわ。
幸せでもないのに、楽しいわけでもないのに、
— イキロ勝也 (@ikiro_katsuya) 2016年6月15日
幸せぶって。
どんどん落ちていくのは気づいてたでしょうが。
ほんとはしたくもないのに
目標として掲げて
ロボットみたいに口から吐き出す。
周りの目を気にして、自分の不安を隠すために。
僕は一時期は意識高い系に憧れていました。過去のツイート見てもらえばわかると思うけど、意識高いツイートをけっこうしていました。
しかしやっぱり性格的に無理があったのか、今は完全クズ野郎のくだらないツイートばかりしています。
朝からグミと食パンしか食べてないから夜ご飯食べに行こう、、、
— megaya (@megaya0403) 2016年7月10日
今日の朝ごはんは炭でした☆ pic.twitter.com/qLvqwwQmji
— megaya (@megaya0403) 2016年7月1日
ドラゴンボールのCHA-LA HEAD-CHA-LAの「たまのり しこみたいね」って歌詞は「玉乗り仕込みたいね」って意味だったのか。ずっとエロい言葉だと思ってた。 pic.twitter.com/43KAbIIJDb
— megaya (@megaya0403) 2016年6月24日
そんなクズ野郎の僕と、上昇志向の強いイキロくんで話が合うのか?と僕は心配になりました。
なにせ僕はそういった陽の世界の人間があまり得意ではないからです。僕は完全に内弁慶なので、自分の世界でないと自分のキャラを発揮できないエセ明るい人間です。
イキロくんとどんな話をすれば良いのか心配でしたが、彼は質問を1投げると78くらいで打ち返してくれる、よくしゃべる人間でした。
なので僕が1個質問すると78返答くらいしてくれるので、壁打ちみたいでおもしろくなってしまい、イキロくんにずっと質問していました。単純に人間的にどんな人なのか知りたかったのもあるしね。
イキロくんがどういった人間なのか簡単にまとめると、
・コミュニケーション能力が鬼高い
・ヒッチハイクで旅をして全国を回っていた。
・屋久島に10ヶ月くらい住んでいたこともある。
・地元は大阪
・今は名古屋で働いている(それも旅先で知り合った縁で働いている)
・尊敬する旅の師匠的な存在がいる
・ダンスをやっている。(将来はアメリカに行ってダンスをやりたい)
・菅原小春というダンサーを信奉している
彼はとにかく情熱にあふれていた。
軽くお酒を飲みつつ彼の話を家で聞いていると、
「本当に世の中には色んな人がいるんだなー。自分は家でエロビデオ見てるだけで、何も成長していないな」
と反省したい気持ちになった。
気持ちを切り替えて、とりあえずエロビデオをPCから消す作業からはじめたいと思います。
知らない他人を家に泊める怖さ。真夜中の不穏な物音。
イキロくんがいくら情熱にあふれていて、コミュニケーション能力が高くて良いやつでも、やっぱり知らない他人を家に泊めるのは怖い。
他人が家にいることに対して、少し警戒心を僕は抱いていた。しかし、彼は悪いことをする気配は微塵もなかったので、疑っていたことが逆に申し訳ない気持ちになった。
時間もかなり遅くなってきたので、電気を消して寝ようと思った。
そのときに彼は一個だけ先に謝ってきた。
イキロ
「僕イビキうるさいんで、そこだけ迷惑かけるかもしれません!
すいません!」
イビキがうるさいくらいなら僕は全然気にしない。そんなことで謝るとは意外に律儀だな。さっきまで警戒していた自分が恥ずかしい。良いやつだ。
そんなことを思いつつ、目をつぶって眠りについた。
(ちなみにイキロくんは「おやすみなさい」と言った5秒後にはイビキをかいて寝ていた。)
、、、、、、、
、、、、、
、、、
ガサ
、、、、、、
、、、、
ガサガサ
ん?なんか物音がする?
浅い眠りから僕は目が覚めた。
なんだ、、この物音、、、?
イキロくんの方からする、、、?
まさか、、、あいつ、、、
ガサガサ
金目のものを探して、家の中をあさっているんじゃ、、、
ガサガサ
やっぱりなんか動いてるな、、、
これ絶対なんか悪いことやろうとしてるよ
警察に通報しようかな、、、
ガサガサ、むしゃむしゃ
ん?
なんか今変な擬音が入ったな?
むしゃむしゃ?
ガサガサ、むしゃむしゃ、むしゃむしゃ
僕は彼が何をやっているのか、おそるおそる身体をずらし、目を開けて見てみることにした。
そこには驚きの光景が広がっていた。
なんと彼は寝ながらポテトチップスを食べていたのである。
なんだよこいつ!
イビキどころの話じゃねーよ!!
色々言いたいことはあったが、彼は寝ながらポテトチップスを頬張っていたので、僕は黙って笑うことしかできなかった。なんなんだよ、こいつ。
しかも朝起きると、彼は全く覚えていない様子でこう言っていた。
イキロ
「いやーなんか昨日ポテトチップス大量に食べてた夢見ましたわ〜」
夢じゃねーから!!ギャグ漫画かよ!!
知らない男を家に泊めてみて
彼のようなコミュニケーション能力の高い男は尊敬できるし、僕には到底できないから本当にすごいと思う。
ただやっぱり知らない人を家に泊めるって行為は怖いなーと思った。寝ながらポテトチップス食われる可能性もあるわけだし。
自分が日本一周しているときに、無償で助けてくれた人たちは本当に良い人達だったんだなと改めてわかった。
もう一度心から感謝しないといけないなーと思う。
僕には彼のように、精力的に他人と関わって生きている人間には憧れがある。彼みたいに生きれたら楽しいだろうなーと思う。
だけど僕にはそれは出来ないと改めてわかった。話していてそういった生き方は自分には向いてないだろうなと思う。
人に憧れても仕方ないので、自分は自分の伸ばすべき能力を伸ばしていこうと思った。
(最後は良い話風にまとめる)
まあでも話してみて、なんか色々頑張ろうと思えた。
たまにはこういうイレギュラーなイベントがあってもおもしろいな。
ということでイキロくん、色々とありがとうー!!