メルカリには海外に勉強のために行ける制度があるらしい。それを利用して海外に行ってきた人たちが、国外のトレンドを紹介するイベントをやっていたので行ってきた。
ちなみにメルカリの海外への支援制度は以下のような形であり、かなり好待遇な制度であることがわかると思う。
- 好きなときに行きたいところに行ける
- 業務扱い
- 通訳や旅費などをほとんど支援してくれる
- 社外の人も一緒に行ける
海外のエンジニア系のニュースは見ていたつもりだけれど、やはり現地に実際に行ってきた人の話を直接聞くと衝撃を受けるものが多かった。
今回のイベントでは、
- 上海
- エストニア・フィンランド
- シンガポール
- ニューヨーク
という四カ国にわけて紹介された。それぞれ聞いた内容を箇条書きにしていく。
上海
上海に行った理由
・上海のすすみっぷりがヤバイと社内で話題になっている
・シェアバイクサービス:mobike, ofo
・決済サービス:WeChat pay, Alipay
・上海の今を自分で体験してみたい
・上海はNext ordinary。(大げさな言い方をすれば)東京がver1だとすれば上海はver2
現金をまったく使わない
・現金はまったく使っていない
・3日間で2回だけしか財布は使っていない
(古い観光地で90歳のおばあちゃんがやっている場所など)
EasyGo全中国初のショップが期間限定で上海にできた。wechatスキャンで入店して、wechat payで払って出る。食品以外に服も売ってるしバッグも売ってるし本も売ってる📍上海万象城 闵行区吴中路1799号1楼无人快闪店(1月20日-2月4日) pic.twitter.com/J8A694oyQY
— きぬよ (@ckinuyo) 2018年1月23日
・ほぼすべてのお店がWechat payとAlipayでQRを読み込んでキャッシュしている
・そのためレジがない場所が多い
お店以外もほぼ現金を使わない
・賽銭箱もQRコード化して払っている
・物乞いもクビからQRコードを下げている
・マクドナルドもパネルが置いてあり、自分でQRコードを読み取って払う
・逆に「クレジットは使うな」と言われた→高確率でスキミングされる
スマホが前提の世界になっている
・スマホを持っていないと使えないサービスが多い→Mobike, ofoなどもそう
・カードや現金で支払えるお店がかなり少ない
・シェア傘などもあるがスマホ決済が前提
・QRコード決済専用の自販機
なぜ未来都市となったのか
・現金がもともと不完全だったという理由もある
→ボロ札、偽札、騙して払うなどが当たり前で、現金の運用が難しかった
→現金が日本のように機能していなかった
・シャオミなどの高機能で安価なAndoid端末が1万円で買えるなどもあり、スマホの普及が早かった
・日本の『住所、電話、現金』は、上海だとスマホに集約されている
・公共料金、外国人の居住確認などもWechatで済むようになっている
・国や行政がスタートアップを支援している
→ものすごいスピードでスクラップ・アンド・ビルドされる
→学生の起業も多い
「明日の当たり前が上海に集まっている」
エストニア
エストニアはITの先進国
・ブロックチェーンの概念などを早めに取り入れていた
・電子政府として機能している
・電子ID(日本で言うマイナンバー)を常に全員が持って生活している
・電子IDで99%の行政ができる
→結婚、離婚、不動産の売買以外はすべてできる
→バスに載ったり、行政にお金を払ったり…
→70歳くらいのおばあちゃんがバスで電子IDを使用している=普及率の高さがわかる
なぜスタートアップが盛んなのか
・スカイプは実はエストニアから誕生した
・マイクロソフトに買収されたあと、そのメンバーがエストニアで起業
→成功の仕方を知っているエンジニアなので、会社を作る→売るを繰り替えして次々に会社を立ち上げる
・スカイプのメンバーが次々にエストニアで起業する。(それらスカイプ出身の人達はマフィアと呼ばれる)
・スカイプマフィアは起業して売るだけでなく、インキュベータセンタを作ったり、支援金を出したりと、若い世代のために活動をしている。
・首相が技術系のカンファレンスに登壇する(日本だとかんがえられないこと)
日本は、お金や人が周る環境を作れていない
・エストニアは循環を上手く作れている
・終身雇用の考え方と全然違う
・「循環する」というキーワードは、国や投資家やエンジニアなどのすべての人が協力しないと成り立たない
シンガポール
なぜシンガポールに行ったのか?
・世界屈指のグローバル歳であり、ロンドン、ニューヨーク、パリにつぐ4位がシンガポール
使われているアプリ
・欧米の企業やアジアのサービスが入ってきている
・ライドシェアアプリだとGrabが流行っている(Uberのようなアプリ)
・シェアサイクルはMobike
・Food pandaというUser Eatsのようなアプリが人気ある
→電動キックボードで配達に来てくれる
→ただし配達時間にこないなどのミスも多い…
先進化が進んでいる
・自動運転の地下鉄
・コーヒーを届けるなおどの、お届けロボットがホテルにいる
・自動で洗濯してくれる洗濯ロボットもある
・非接触決済サービスが普及している。携帯からも支払いができる。
→NetsやVisa pay waveが人気
Facebook社に行って聞いた話し
・日本や韓国は登録者が少ない
→本名に抵抗がある
・月イチで各拠点に出張して情報共有をしている
・情報共有の場が合っても伝わらないと意味がないので、英語を共通言語としている
・福利構成が良いから人が辞めることが少ない
ニューヨーク
なぜニューヨークに行ったのか
・ファッション関係のアプリを担当しているため、世界のファッションの中心であるニューヨークへ
・Tech companyも豊富
→ソフトバンクが出資したレモネードなど
・ブラックフライデーにも興味があった
アメリカのファッションECは2極化している
・利便性なら確実にAmazonが強い
・それ以外はスタイリング、ヴィンテージなどこだわりがある派にハッキリと別れる
・例えばStitch fixというスタイリングECは6年でIPOしており、DCMが中国版に出資などもしている
・スタイリングECは革命的に伸びていて、レッドオーシャン化している
Amazonのファッションの本気度
・実験的なリアル店舗をニューヨークで出していた
・シンプルな店構え
・バーコードをカメラでスキャンするとAmazonで買える
・日本でも品川にAmazonのファッションスタジオが出来ている
ニューヨークのファッションECの流行り
・洋服を借りるレンタルECがリアル店舗を出店している
→RENT THE RUNWAYというサービスなど
・ニューヨークはパーティーの服装が売れている
→パーティーに行く前に借りたりしている
→日本ではあまりない文化
・ニューヨークでスタイリングECが流行っているのは、スーパーなどでもスタイリストがつくことが多いからかもしれない
「自ら1次情報を取りに行こう」
まとめの言葉
・世界的なマーケットプレイスを作るとメルカリは公言している
→行ってみないとわからない
→会社にシェアの文化が当たり前にある
(僕はこれらのスライドの説明だけを聞いて帰ったのだけれど、このあとも懇親会で色々と話しを聞けたようだ)
話を聞いた感想
既に技術後進国になってる自覚が無い日本と、先進国エストニアの差がコレである #wbs pic.twitter.com/pJPguJNXCU
— Har. (@Har7201) 2018年1月15日
少し前に話題になっていたエストニアの技術者のセリフを聞いたばかりだったので、今回のイベントは刺さるものがあった。
特に上海の話しは衝撃度が高かった。まさかそこまでキャッシュレスが進んでいるとは思わなかった。もちろん話しに出ていたように「現金が機能していない」という背景があるのだろうが、それでもこの進み具合は驚くものがある。
現実の世界とインターネットの世界が融けて一緒になっているような感覚だ。
日本の技術力が低いというのは決してないように感じる。やっぱり国や行政がそれを取り入れる姿勢が出来ていないとうのが大きいように思う。
特に金融関係はレガシーなものがずっと動いている状態で、先進的な技術もなにもあったものじゃない。確定申告のシステムとかマジでしんどい…
あと日本人の警戒心の強さもあるのかなーと思った。
キャッシュレス化を信用していない人はかなり多いと思う。例えばマネーフォワードのような家計簿的なアプリでも、銀行登録などがあると「怪しい」「安心できない」という人は多いと思う。実際にITに詳しくない僕の知人はそういったお金が関係する類のアプリは一切スマホに入れていない人もいる。
スマホはSNSとチャットのできる電話なのだ。それ以上の働きをほぼしていない。日本だとこの使い方をしている人がほとんどだと思う。
IT化が進んでいくためにはもちろん技術者がいることが大前提なのだけれど、話に出ていたとおりお金やモノや人が『循環』していかないと世の中は変わっていかないのだろうなと感じた。
それをなすためには個々人の考え方が変わっていかなきゃならないし、行政が変わらないといけないし、国が変わっていかなきゃいけない。
……うーん難しい。そんな歴史の変わり目のようなことが今の日本で起こるのだろうか。
でもビットコインがお金として認知されているというのも事実で(まだ投機目的が大きいが)、信用がお金になるという通貨の誕生を現実で目の当たりにしているわけで、技術的な世界の改革というのは必ず起きるものなのかもしれない。
メルカリの海外支援の制度への取り組みは、やはりそういった情報を得るために有用なのだ。誰かがそういった海外の情勢を知りその上で広めるというのは、間違いなく個々人の考え方が変わる一つの潮目だと思う。これをどうエンジニア外に広めていくのかが難しいところなのだけど……
とにもかくにもこれから日本で何かスタートアップなり、起業を考えている人は、
「自ら1次情報を取りに行こう」
と言う言葉の通り、自分の足で確かめて、肌で感じるというのは大切なのだと思った。
Twitterもやっています
去年の忘年会の写真をもらったんだけど、飲み会の途中で完全にイッてる pic.twitter.com/fQ7qF9iZY8
— megaya (@megaya0403) 2018年1月22日
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