3年前くらいのGWのときに「タイムマシーンを作ろう」と思った。
これはただの比喩なのだけれど、「GWは勉強しまくって未来の成長した自分になろう」ということである。なんともわかりづらい例えだ。
社会人になったばかりの僕はとにかく意識だけは高かったので、GWは遊ぶものでなく自分を高めるものだと思っていた。ゴールデンワーク。
そしてなぜかさらに自己を追い込もうと思って、断食と瞑想をやることにした。 修行僧にでもなりたかったのだろうか。あの頃の僕は何を考えていたのかはわからないが、すさまじい情熱があったことだけは伝わる。
とにもかくにもGWの4日間は断食しようと思った。
そのときに感じたことがメモとしてスマホに残してあったので、それを今日は書いていきたいと思う。ちなみに僕の断食のやり方は絶対に間違っているので真似しないで欲しい。
1日目
朝
今日から断食をする。4日間でどれだけ勉強できるかで差がつく。分刻みでスケジュールを作ったので、それに従って生活しようと思う。
飲み物は水と野菜ジュース。水だけだと死ぬ可能性があるから栄養のバランスをとるために野菜ジュースも用意した。
とにかく今日から頑張ろう。この4日間で人生の差がつく。
昼
お腹が空いたけど我慢できる。というより日常的に一日一食の日もあるので特に辛くはない。いつもの日常だ。
夜
お腹が空いたけど、水と野菜ジュースを大量に飲めば我慢できるレベル。勉強も順調に進んでいるし、断食は体質に合っているのかもしれない。
今日から毎晩10分間の瞑想を眠る前にする。瞑想は人生で初めてやってみたけど難しい。目をつむって何も考えないというのは不可能に近い。必ず何かを考えてしまう。
あと3日で何かをつかみたい。
2日目
朝
起きたときに身体が重く感じた。倦怠感がすごい。
「断食した次の日は快適に起床できる」
とネットに書いてあったけどウソなのだろうか。
とりあえず勉強を始めよう。お腹が空いた。胃の中が空っぽなのがわかる。水を飲むと胃に直接当たる感じがする。お腹が空いた。
昼
facebookを流し見していると、牛タンの写真が通りすぎたのが見えた。一瞬しか見えなかったはずなのにヨダレがすぐに出た。facebookを見るのはもうやめよう。
夜
座椅子に長時間座ってから立つとよろけてしまう。栄養が足りない感じがする。血が足りない気がする。血が足りない、という表現以外に適切な言葉が見つからない。
液体じゃなくて固形のものが食べたい。なぜかはわからないがカロリーメイトが異常に食べたい。
瞑想してもやはり集中できない。過去に見たテレビ番組の内容とか、明日の天気とか、今後の妄想とかが頭を駆け巡る。何も考えないことがこんなに難しいとは思わなかった。やる意味あるのか?
3日目
朝
スッキリと目覚めるが、お腹が空きすぎて起きる感じだ。何か食べたい。
なんでこんなことをやっているんだろうか?なんのためにこんなに辛いことをしているんだろうか?もう本当にわからなくなってきた。
なんのためにやっているんだろう。何か食べたい。
昼
朝を切り抜けると、なぜか昼頃にはお腹が落ち着いている。
水が切れてしまったのでコンビニへ買い物に行ったが、そこは僕にとって地獄だった。
キラキラと光る棚にはお惣菜が陳列されている。ホットケースに入っているチキンや肉まんはジュエリーケースにおさめられた宝石以上に魅力的だ。
見ただけでヨダレが止まらない。お腹が自然と唸りをあげる。イライラしてきた。早く断食なんかやめたい。
何もしてないとイライラとするが、勉強を始めると不思議と集中できる。むしろ空腹を忘れるために集中していると言っても良いのかもしれない。
夜
イライラが収まったが今度は倦怠感というか、何もしたくない気持ちになってきた。
一旦リフレッシュしようと思い、家の近くの銭湯に行くことにした。湯船にしばらく浸かって至福の時間をすごす。温泉って本当に素晴らしい。荒れた心が癒やされる。
湯船から出て立ち上がった瞬間に、今までに感じたことのないような強烈な立ちくらみに襲われた。
視界がかすみ、意識が途切れそうになる、倒れそうになったので慌てて近くを掴んで、その場に座り込む。
数秒は立てずに、座り込んだままボーッとした感じが続く。おじさんに声をかけられたけど、何を言っているのか聞き取れないほど脳が回らない。
少しして意識が戻ってきた。危ない…下手したら本当に倒れていたかもしれない。頭から水を被って意識を取り戻す。家に帰ろう。「GWに断食して餓死しているやついてワロタwwwww」とかスレが立つかもしれない。笑えない。
寝る前に瞑想をするもやはりまったく集中できない。もう何もかもやめたい。
4日目(最終日)
朝
倦怠感は拭えないが、最終日ということで精神的には少し楽だった。イライラすることには変わりないが。
ただやっぱり勉強は集中できる。不思議な感じ。
昼
驚異の集中力を発揮していたと思う。とにかく脇目も振らずに本をひたすら読んでPC に勉強したことをまとめていった。
夜
ついに終わる。もう少しと考えると明日何を食べようかと想像してしまう。しかしそれを考えるとお腹が空いてきてイライラする。自分で自分の尻尾を噛んでいるような行動。
早く今日という日が終わって欲しい。
瞑想は最終日なので1時間やることにした。
目を瞑って集中しようと思ったけど結局最後まで出来なかった。1時間の瞑想は永遠に感じるほど長かった。何も考えないのは無理なので、もういっそ色々と考えることにした。
将来のこと
目標
やりたいこと
やらなきゃいけないこと
家族のこと
会社のこと
自分自身のこと
永遠と思っていた1時間が終わった頃には異常に疲れていた。身体は疲れがあるものの、頭はスッキリと冴えているような不思議な感覚だった。
瞑想中に色々と考えた末にでた結論は「べつに断食する必要なんてなかった」 ということだ。
まさに迷走中だ。お後がよろしいようで。
5日目(断食終了後
最初に食べるものは決まっていた。コンビニの「塩おにぎり」だ。何が食べたいのか考えた結果シンプルに米が食べたかった。
口に米を入れた瞬間に笑みが止まらなかった。米の甘みが噛んだ瞬間に口の中に広がる。後にも先にもあれ以上に米を美味しく感じる瞬間はないと思う。それくらい感動した。
米の美味しさを再認識するために断食をしていたと言っても過言ではない。
お昼は大戸屋に行った。なぜ大戸屋に入ったのかは覚えていない。とにかく何か食べたかった。大戸屋に入ってガッツリしたものを食べれば良いものをなぜか卵雑炊みたいなものを頼んだ。
なんでそれにしたのかも覚えてないけどとにかく美味かった。周りの目なんか気にしないでとにかくかっこんだ。食事が簡単にできるって本当に幸せなことなんだなと思う。
断食してみて
3年くらい前のことだからあんまり覚えてないけど、スマホに書いてあったメモを頼りに思い出しながら少し内容を足した。自分でメモ見返しながら情緒不安定でやばいなとしか思えなかった。
結果として終わった後は体重が3kgくらい減っていたし、そのあとすぐに39度を超える熱がでてゲロ吐きまくってさらに体重が減った。もう二度と断食なんてやらないと誓った。
そんなことよりも、今さっき大戸屋のwebサイトのメニューを見ていたら卵雑炊なんてものは存在しなかった。本当に僕はあの日行ったのは大戸屋だったのだろうか、本当に卵雑炊を頼んだのだろうか?幻を見ているのかもしれない。
もしかしたら本当は銭湯で立ちくらみをして、僕はそのまま倒れたのかもしれない。そこからずっと幻を見ているだけなのかもしれない。
こうやってブログを書いている今も現実ではなく夢で、本当の僕はベッドの上で寝ているのかもしれない…
じゃあ今これを書いている僕は、、、だれ、、、、、
タララララァーン♪タララララァーン♪(世にも奇妙な物語のテーマ)
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