(ママチャリ日本一周の記事一覧)
(前日の記事)
鹿児島県の志布志市の公園で起床
鹿児島県の志布志市で起床した。昨日は走りやすかった道が多かったので、あまり疲れが残っていなかった。
寝る場所も静かだし、地面が芝生だったので寝やすかった。倉庫のような壁に「GG大会○○様」と書いてあったので、どうやらゲートボールとかの会場として使われているらしい。
(関係ないけど、今いる志布志市は珍名スポットとして有名)
朝ごはんに50円の菓子パンとワカメスープを飲み出発の準備を整える。初めはテントを立てるのにも苦労したけど、だいぶ早く準備できるようになったなーとしみじみ思う。
今日もひたすら220号線を直進する。今日はなんといよいよ桜島にいってフェリーに乗って、鹿児島市へ突入する。
桜島に行くのも初めてだし、フェリー乗るのも久しぶりだから楽しみだ。
桜島を目指してひたすら走る
鹿屋市を経由して、垂水(たるみず)市を目指す。
この日も天気が良いし、なにより道が平坦だったのでめちゃくちゃ走りやすかった。一生平坦であってほしい。自分の人生も平坦であってほしい。
道が平坦なのは最初だけで、途中からは多少登り下りはあった。だけど、昨日の疲れや筋肉痛がほとんどないので、体力的にはかなり楽だった。
鹿屋市にはすぐに着いたのだけど、体力に余裕があったのでこのまま垂水市まで走った。
おばちゃんからのプレゼント
しばらく走ってお昼ご飯にしようと思い、近くのスーパーに寄った。お弁当を買ってスーパーの外で食事していると、急におばちゃんが話しかけてきた。
「あらあら、こんな暑い中で食べてたら熱中症になっちゃうわよ?スーパーの中でも食べられるわよ」
と教えてくれたが、僕みたいな薄汚い格好のやつが中で弁当食べてたら、他の人の迷惑になる可能性もあるので、
「いやー外で食べるの好きなんですよ」
と曖昧に返しておいた。
おばさんは納得したのかどうかわからないが、「あらそう?」と言い僕の元を離れていった。
離れていったのだが、そのおばちゃんは僕の4mくらい後ろで、なぜかジロジロと見て観察してきた。
もしかしてこれあれか?万引きGメン的なやつか?俺のこと万引き犯だと思っているから、スーパの中に促そうとしたのか?
そう考えると怖くなってきたので、お弁当を一気にかきこんで食べ、早く出発しようと思った。
すると、さっきのおばちゃんが僕に近づいてきた。やっぱり万引きGメンか!!
「あんた、その服装と自転車!もしかして旅してるんでしょ?」
と聞かれた。怪しんで僕を見ていたわけではなく、服装や自転車の装備を見て興味をもってくれていたみたいだ。
僕が「神奈川県から来ました」と答えると、
「あらあらやだやだ!すごいわね!
じゃあこれあげるから頑張って!」
と南国しろくまアイスをくれました。
うわぁーーーー!アイスだ!!
しかも鹿児島が発祥の南国白くまアイス!!
アイスなんて久しぶりでテンションあがる!
感謝しながらいただく。万引きGメンだと勘違いして申し訳ない。
美味しい…
なにより小豆が入っているのが良い。かき氷は小豆の入った宇治金時派の僕にはたまらない。
休めたし、アイスも食べれたし気力も充分!
やっぱ甘いものとか食べるとやる気でるよね
桜島に到着!そしてフェリーで鹿児島市へ
垂水市を越えて順調に走っていると、だんだんと桜島らしきものが見えてきた。
桜島はいまだに活動を続ける活火山で、鹿児島の人にとっては噴火しても日常レベルのことだというのが驚きだ。
こっちからすれば、山から煙が出てるの見るだけで怖いよ。
海辺が近いのにゴロゴロっとした岩が多いのは、火山岩とかが多いからなのかな?とか思ったりしたけど、知識がないからよくわからない。
桜島のフェリー乗り場まではキツイ坂道をひたすら登らないといけない。当たり前だけど山だからね。
道路は舗装されててキレイだから走りやすいし、景色がキレイだからまだ頑張れるけど。
途中で逆方向から来る自転車乗りの二人組みに、
「ママチャリで登ってるよ、あの人」
「すげーな」
と通りすがりに言われて、ちょっと誇らしくなった。
そして苦労してようやく目指していた桜島溶岩なぎさ公園に到着!
うわー!やっと着いた!!
なぜ桜島溶岩なぎさ公園を目指していたのかというと、無料で入ることができる足湯があるからだ。
この情報は広島にあるおきな堂という、和菓子のお店の店長から聞いていた。
一週間前には広島にいたんだよなー、だいぶ前の出来事に感じる。
足湯に浸りながらボーッと海を見たり、何も考えずに座っていたり、束の間のリラックスタイムを味わう。
激しい日常でこういう弛緩する時間は必要なのかもしれない。至福。
自転車で走っているときに驚いたのだけど、桜島のコンビニの色は茶色だ。どうやら霧島錦江湾国立公園の区域内にコンビニがあるので、景観条例にのっとってそうなっているらしい。
たしか京都とかのコンビニも景観条例で色が茶色だったりした気がする。
桜島を軽く散策したあとはフェリーに乗り込む。フェリーの料金はたったの250円という安さ。
フェリーに乗っている時間がわずか15分ほどしかないから、当たり前と言えば当たり前だけど。
やっぱり船旅は気持ちが良いなー
船から見える桜島も美しいー!!
わずかな時間の船旅だけど、料金も安いし、近くに住んでたら休日の暇つぶしになって良さそう。
ボーッと海を眺めていたら、すぐに鹿児島市に到着した。
鹿児島市へ到着
短い船旅を終えて、鹿児島市へ到着!!
やっぱり県庁所在地だけあって栄えてるなー
NHKもあるし、なんか久しぶりに「都会にキタ!」って気分。宮崎県と同じで道路の真ん中にヤシの木が立っている。これ九州だと当たり前なのかな?
とりあえずお腹空いたから何か食べよう!!
ということで、Twitterで教えてもらっていた南宝饅頭店(なんぽうまんとうてん)に行ってみることにした。
なんでもめちゃくちゃ安いらしい。
黒豚まんと紫芋まんを購入した。
大きさが子どもの拳くらいの小さなものなので、一個70円くらい。二つで150円くらいなのでかなり安い!!
小さいけれど黒豚まんは肉汁が割った瞬間に溢れでてジューシーで美味しい。紫芋まんの方も甘すぎずにいてそれでいて中のアンもぎっしり入っていて美味い。
他にもチーズ黒豚まんや焼饅頭などもあり、この値段なら全部食べたくなる…!
がお金がなさすぎるため我慢して先に進むことにした。
くそ!!なんで自由に金が使えないんだ!!
→答え: 家出しているから。
自転車トラブルへの恐怖。そして地獄のようなテンションへ。
乗っているママチャリが最近になって変な音がするようになっていた。 走っているときにキーキーと金属音がこすれる嫌な音がするのだ。
せっかく大きい都市に来ているので、自転車屋に寄って軽く見てもらおうと思った。
少し鹿児島市内を走り回り自転車を見つけた。とりあえず状態を見てもらうだけ見てもらおうと思い、お店の人に「変な音がするんですけど原因ってなんですか?」と聞いてみることにした。
ここで「自転車が壊れた」と言う判断をされれば、旅は終わってしまう可能性がある。なぜなら金銭面的に次の自転車を買う予算がないからだ。
自転車を買えたとしても、旅を続けるほどの金額が残らない。
すると、どうやらペダルの根元あたりにあるチェーン付近のパーツがガタガタになっているということだった。
お店の人には、
「とりあえずネジ巻くことしかできない」
「もし中身がだめになってたら壊れるのも時間の問題」
という死の宣告をされた。
この発言で僕のテンションをかなり下がった。旅が終わる…?
さらにメンテナンスしてもらっていたら、こちらが何も言っていないのにネジを締めてくれていて、「あ、これくらいの修理は無料でやってくれるんだ」と思っていたら、
「じゃあ500円ね」
と微妙な料金をとられたのもイライラした。切り詰めてお金を使っていたから、けっこう痛い出費だった。
(今思えば商売だから当たり前なんだけど)
このネジ締めは時々お店に行ってやってもらわないと、どこかで壊れる可能性があるかもしれないと言われた。
さらに、
「ここからは立ち漕ぎはしない方がいい!」
とまで釘をさされた。それくらい自転車にガタがきていたのである。
よくよく考えたら、三重から鹿児島まで900kmくらい荷物付きで走って、それをメンテナンスしないで走っているんだもんな…
この「自転車が壊れるかもしれない」という情報は、僕の旅に対するモチベーションを一気に下げた。
今まで僕は立ち漕ぎで坂をほとんど超えてきた。辛くても苦しくてもなるべく漕げる場所は漕いで乗り越えてきた。
それを乗り越えてきて、ここまで強くなったという自信があったのに、それが出来なくなってしまう。一番大切にしていた武器を取り上げられた気分だ。
さらに「途中で壊れた」場合は、最も中途半端な状態で、この旅を終えなければならない。いつ壊れるのかわからないので、時限爆弾を抱えているような気持ちになった。
旅を辞めるという選択
お店を出ると桜島が近いからだろうか、灰のようなものが飛んでいることに気づいた。自転車で走っているときにこれが目に入って痛い。僕のイライラは募るばかりだった。
さらに僕のイライラを加速させたのは、ネジを締めてもらったはずなのに、自転車は相変わらず嫌な金属音を出しているということだった。
「500円も取られたのになんにも変わってないじゃねーかよ、詐欺だよ…」と僕の心は暗いもので満ち溢れていた。
「なんでメンテナンスちゃんとしなかったんだろう」
「オイルとか塗ったほうがいいのかな」
「自転車ってどうやって維持していくんだろう」
「この先、立ちこぎできないとなると坂道どうしよう」
心配や不安が頭を駆け巡った。
悪いことを考えているときって物事がうまくいかないのもので、気づいたら本来行くはずだった道から大幅に外れ、道に迷っていた。
目的方向とほぼ真逆に走っていることに気づいた。30分ほど走った道をまた戻らなければいけない。
イライラは最高潮になり、なぜだか急に泣きそうになった。このときの僕は非常に精神状態が不安定だったのを覚えている。悪いことが起きたときにすぐにイライラし、そのあとすぐに絶望する。
心が弱くなっているので、 「もう自転車が壊れたことにして家に帰ろうかな」ということまで考えていた。
しかも坂が連続で続いて体力も刈り取られていく。心が折れそうになる。
家に帰りたい。
旅をやめたい。
自転車を押して進むことすら辞めたくなってきた。何をやっているんだろう。何のために僕は旅をしているんだろう。
本当に旅をやめようか迷った。
色々なことが巡っているうちに家族のことが頭に浮かんだ。父、母、兄、妹、弟…
それらを考えているときに、大分県で兄から電話がかかってきたこと、愛知で父から電話がかかってきたことを思い出した。
兄
「お前が決めたんだから、最後までやればいい。
信頼してるから、家に帰ってくることだけを約束してくれ」
父は「目的を達成して無事に帰ってこい」と言った
家族は僕が勝手をやっているのにもかかわらず、僕のことを応援してくれた。「最後までやればいい」「目的を達成して無事に帰ってこい」と背中を押してくれた。
その言葉を思い出しているうちにふつふつとやる気が湧き上がってきた。やる気というか、「何やっているんだろう」という自分の精神状態への怒りなのかもしれない。
どんだけどろくさくても良い。
やっぱり最後まで頑張ろう。迷惑や心配をかけている分、せめて最低でもやりきるう。
自転車は壊れそうだし、精神的にも辛いけど、少しずつ自分の中の考え方を変えてみることにした。
押すのが辛いのであれば、歩いて日本一周をしているんだと考えれば良い。
自転車の立ち漕ぎができないのであれば、座って漕ぐトレーニングだとおもえばいい。
今は辛いだけかもしれないけど、すべてをやりきれば何かが変わるかもしれない。
そうやって少しづつ考えを置き換えていると、気分もだんだんとよくなってきた。この考えの変換は気休めにしかならないかもしれないが、今の僕には十分だった。
とにかくやってはいけないことは、
「やめること」
「立ち止まること」
「気力を絶やすこと」
それだけだ。
そんなことを色々と考えてるうちに気がついたら日置市に着いていた。よかった。やっぱり走っていればいつかはたどり着くものだ。
途中でやめないでよかった。走り続けてきてよかった。
(写真は朝に撮影したものなので明るい)
日置市で夜ご飯の買い物をして、公園のような広い広場を見つけたのでそこに今日は泊まることにした。
僕が腰をおろして夜ご飯を準備しているうちに、遠くから破裂音が聞こえた。
花火が打ち上がっていた。
しばらくボーッと花火を眺めいていた。
たまたま見れた花火だけど、僕にとっては大きな出来事だったように思える。今日の暗い気持ちを払拭してくれるようにキレイだった。
最低まで花火を見ていたら、自然と沈んだ気持ちはいつしかどこかにいっていた。
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志布志市(鹿児島) 〜 日置市(鹿児島) 約84km
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このへんのあたり本当に精神的に良くなかったんだろうなって思う。ちょっとしたことで落ち込んだり、テンション上がったり、冗談じゃなく軽く躁鬱っぽいんじゃないかなと心配になったりもした。
とにもかくにも桜島を越えて鹿児島市へ到着。
そしてこっからは怒涛に九州を進む。
これ日置市のスーパで安売りになっているやつ買って、この日の夜ご飯にしたんだけど安すぎじゃないですか?
鹿児島の物価ってどうなっているんですか?
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